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肢体不自由特別支援学校について
対象となる児童生徒
特別支援学校(肢体不自由)は「肢体不自由者に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的と」している(学校教育法第72条)。
学校教育法施行令第22条の3では、以下に該当する者が肢体不自由者とされる。
1 肢体不自由の状態が補装具の使用によっても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
2 肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
また、文部科学省は「障害のある児童生徒の就学について(通知)」において、障害の判断に当たっての留意事項として「専門医の精密な診断結果に基づき、上肢、下肢等の個々の部位ごとにとらえるのでなく、身体全体を総合的に見て障害の状態を判断すること。その際、障害の状態の改善、機能の回復に要する時間等を併せ考慮して判断を行うこと。」(14 文科初第291 号 H14.5.27)を挙げている。
一般に肢体不自由とは、肢体(四肢・体幹)の運動障害をいう。四肢は、上肢( 肩関節から手指に至る部分) と下肢( 股関節から足首に至る部分) からなり、体幹は脊椎を中軸とした上半身および頚部を含めた支柱部分をさしている( ただし、内臓諸器官は含まれない)。
また、不自由とは単に動かせないのではなく「意のままにならない」ということであり、その中には力が入りすぎて思うように動かせなかったり、動かしたくないのに動いてしまったりなど様々な不自由の型がある。
肢体不自由の状態は不自由の箇所や程度により様々である。例えば、右手や右半身が、あるいは両足が、更には全身が不自由という場合がある。また、その程度も日常生活にさほど困難さを示さないもの、杖(クラッチ)や車いすを必要とするもの、多くの活動に介助を必要とするものなど、その状態は複雑多岐にわたっている。
特に、近年においては、日常的に医療的な配慮を必要とするような、障害の程度が比較的重度の児童生徒や、視覚障害・聴覚障害・知的障害・病虚弱など他の障害を伴っている重複障害の児童生徒の在籍が多くなってきている。
また、肢体不自由の起因疾患は多様化している。したがって、肢体不自由となっている障害や疾患とその障害程度により、運動障害の他にも、知的障害、コミュニケーションの障害、てんかん、嚥下障害、排泄障害などさまざまな合併症状がある場合、常に医療的な配慮が必要な場合もある。
言語や表情・動作等のコミュニケーション手段が十分に活用できていない児童生徒の場合、教職員の側が、ともすると外面的な状態像にとらわれ、心情や内言語( 思考)などの実像を見抜くことが不十分になってしまうことがある。外見上の障害の状態のみで判断するのではなく、より多面的な視点を持って、一人一人の児童生徒の実態や教育的ニーズをとらえていかなければならない。