支援のヒント
B 教材教具の紹介(各教科・日常生活の指導・自立活動等)
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日常生活指導や自立活動での支援の手立て~支援具の工夫~
A 給食指導における支援の手だて~自助具の種類~
特別支援学校には、食べる機能に障害がある児童生徒も在籍しており、一人一人に合わせた食形態を提供しています。各自の食形態と合わせて、スプーンや皿などの食具にも工夫をする必要があります。本校の児童生徒は、スプーンの先が曲がるタイプのスプーンや持ち手がシリコンタイプ、児童生徒の手に合わせて樹脂で形を作ったタイプのスプーンなどを使用しています。また、自助スプーンと自助皿を併せて使用することで、食事の動作に課題があった場合でも効果的に食事をすることができ、児童生徒の自立に向けた取り組みをすることができます。
【スプーン】
≪柄部分が可動タイプ≫
手首が返らない児童生徒にはこのタイプを使用することで口元に運びやすく食べることができます。
≪樹脂柄タイプ≫
通常のスプーンが使いにくい、握りづらい場合には、個々にあった指の形にかたどったスプーンを使用します。
≪柄がスポンジタイプ≫
握りに課題がある場合には、柄の太さを変えることで握りやすくなります。
≪シリコンスプーン≫
口あたりが柔らかく、咬反射がある児童生徒に使用し、反射を抑えることができメリットがあります。
【皿】
≪自助皿≫ ≪滑り止めシート≫
自助皿は、手を添えて支えやすい形状のものや、片手でもすくいやすいようなかたちになっていて特別支援学校の児童生徒は、給食の時間に食具等を使用し摂食の練習を行っています。滑り止めシートを使用することで食器が動かず掬いやすくなります。
【コップ】
≪シリコンコップ≫
シリコンコップは、口当たりが柔らかく、児童生徒の口に合わせてコップの大きさを変形させることができるため、とても飲みやすくすることができます。
A 車いすからおりた時のポジショニング
1日に1回以上、車いすからマットやベッドなどにおりて、身体を伸ばしたり、リラックスしたり、姿勢変換したりする事は、とても大切です。
私たちは、座っている間も、身体がつらくないように重心を右に左に移動したり、背筋を丸めたり伸ばしたりなど無意識に身体を動かしながら座っています。また、書字やパソコン入力などの動作の時には、片手で身体を支えたり、両肘で身体を支えたりして、バランスを取りながら作業をすすめています。
しかし、肢体に不自由のある児童生徒は、身体に緊張が入ってしまうため、うまく身体のバランスを取り続けたり、書字などの動作の時にうまく身体が支えられなかったりします。そのため、身体のどこか一部分に負担がかかり続けたり、得意な所を使い続けたりしたまま、作業を続けてしまいます。そうしたことを積み重ねると、身体の一部に無理な力がかかり、身体がどんどん変形してきてしまうのです。身体が変形してしまうと、将来的に座り続けることが難しくなってきてしまいます。
※無理な力がかかっている姿勢の一部を再現しています。
したがって、マットなどにおりて身体をのばしたり、リラックスさせたりすることは、身体に負担がかかっていたり、使い続けてしまったりした身体の力を、いったん抜くことができるのです。毎日、短時間でも取り組むことで、身体の一部にかかる負担を軽減でき、身体をよい状態に保つことができます。無理し続けることのないようにすることが大切になってきます。
そこで、マットなどにおりた時の姿勢つくりを、ご紹介したいと思います。
※側弯があり、緊張の強い生徒のポジショニングの例を写真でご紹介します。
◎仰臥位(仰向け姿勢)
長所 短所
・支持面が大きく、重心も低く、安定して安楽な姿勢。 ・下顎、舌根が後退、沈下しやすい。
・視野が広い。 ・痰や唾液がのどに溜まりやすい。
・胃食道逆流が起こりやすい。
・視野が真上(天井)に限られる。
※ポイント
頭部:気道確保のためにタオルや枕を入れる。顔がいつも横(同じ方向)に向いていると脊柱や胸郭の変形につながる。
上肢:呼吸がしやすいように腕の下にクッションを入れる。
下肢:股関節の脱臼を防ぎ、深い呼吸を促すために膝下や両膝の間にクッション等を入れる。
※点で体を支えるのではなく、広い面で支えると安定、安心する。
◎側臥位(横向き姿勢)
長所 短所
・舌根沈下の心配は少ない。 ・転がりやすく、不安定になりやすい。
・気道確保しやすい。 ・右側が下になった側臥位は胃食道逆流を誘発する。
・排痰時に強い咳を出しやすい。
・周囲に気づきやすく、視界に手が入るので感覚運動や
コミュニケーションをとることがしやすい。
※ポイント
頭部:仰臥位よりもタオルや枕の高さが上がることが考えられる。頭部の傾き方に注意する。ハンドタオル等を敷いておくと、分泌物が出てきたときにクッションを汚さずにすむ。
上肢:腹式呼吸の妨げにならないよう、上になっている腕の位置に注意する。(前面クッションに上側の腕を乗せて腕の重みを逃がす)
体幹:腰の後ろが反らないように、前面にクッション等を置いて預けられるようにする。
下肢:上になっている足の位置を工夫することで骨盤が安定する。股関節、膝を屈曲させ、腹部を緩める。
※傾きや腕、足の位置を変え、バリエーションのある側臥位を行うことで変形拘縮の予防や換気の改善、排痰を促すことができる。
◎伏臥位(うつ伏せ姿勢)
長所 短所
・下顎後退、舌根沈下の心配は少ない。 ・口や鼻が塞がれて窒息の危険がある。
・分泌物を出しやすい。 ・視界が悪い。教員からも表情の観察がしづらい。
・リラックスした状態になりやすい。
・腕や手の動きがしやすくなる。
・胃食道逆流になりにくい。
※ブーメランクッションを使用
※三角マットを使用
※ポイント
頭部:口や鼻が塞がれないように顔の向きに注意する。ハンドタオル等を敷いておくと、分泌物が出てきたときにクッションを汚さずにすむ。
上肢:感覚運動を行う場合は動かしやすいように工夫する。
下肢:足首の下に丸めたバスタオルなどを入れて、足首が左右に倒れないようにする。
両脚の間にタオルやクッション等を入れ、足が交差しないようにすることで股関節脱臼を防ぐ。
※伏臥位マット使用の際はずり落ちないように注意する。
※口、鼻の閉塞による窒息注意。柔らかすぎる布団やマットに顔が埋まるような状態は避ける。
C 机・椅子の工夫
本校では、児童生徒の実態に合わせた支援具を活用しています。その一例が、教科学習などの場面で使用される机・椅子です。歪んだ姿勢が続くことで身体に変形が生じてしまう恐れがあります。また、姿勢が整わないことで注意をうける経験を積み重ねてしまい、児童生徒が自信ややる気をなくしてしまうことが心配されます。これらの机・椅子の工夫を行うことで、姿勢が保ちやすくなり、筆記や机上での活動で本人の力を発揮しやすくなります。また、学習に集中しやすい環境が整うことで児童生徒の「できた!」が積み重なり、自信にもつながります。
机は天板が広く、車いすに乗ったままでもきちんと奥まで入ることができるものを使っている児童生徒が多くいます。上体が入るように天板にカットが施されているため、両肘を天板につけたままで授業に臨むことができ、姿勢が崩れにくくなります。
椅子については、肘置きや高い背もたれがついているものを使っている児童生徒が多くいます。股の部分に突起があり、お尻が座面から落ちないようになっているものもあります。突起がない椅子については、滑り止めシートを座面に敷いています。
児童生徒の実態や活動の場面に応じて、机と椅子を使い分けています。貸し出しの相談も承っているので、本校支援部までお気軽にご連絡ください。また、本校では巡回相談も行っております。詳細については「巡回相談」のページをご覧ください。