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特別支援教育の医療的ケア
特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒にとどまらず、障害の有無や個々の違いを認識しつつ、様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものです。そこで本校においても、医療的ケアを必要とする児童生徒に保護者・教員・私たち看護教員が連携し、適切な医療的ケアを行うことは
①健康の維持増進を図り、意欲的に学習に向かえる為の支援
②主体的に自分自身の障害の受容を促すこと
③医療的ケアを通して関わる人とのコミュニケーション能力を育むこと
など、とても有意義な教育活動のひとつであるととらえています。
私たち看護教員も、特別支援教育の担い手として、医療的ケアをとおして、児童生徒一人一人の成長・発達の支援者でありたいと思っています。
<教育の中の医療的ケア>
栄養や水分をチューブで摂取する、痰を器械で吸引する必要のある児童生徒がいます。これらは医療の場において「医療行為」といいます。しかし、在宅生活においては「医療的ケア」と呼び、家族が中心に関わっています。そして特別支援学校では、この「医療的ケア」を教育のひとつとして看護教員や教員が中心に関わり学校生活を支えています。
<医療的ケアの内容>
・ 注入(経鼻胃管・胃ろう・腸ろう)
・ 吸引(口鼻腔内・エアウェイ・気管カニューレ内、口腔内持続吸引)
・ 定時吸入(水分・薬液)
・ 介助導尿
・ 酸素療法(一定の条件を満たしているもの)
<保護者の声-Voice->
・ 小さなことから大きなことまで気にかけてくれ安心して預けられる。
・ 細やかな配慮があり、子供が体調を大きく崩すことなく学校生活が送れている。
・ 毎日細かい体調変化に対応してもらい本当に感謝している。
<埼玉県では・・・>
平成14年度からメディカルサポート事業、平成21年度より埼玉県立特別支援学校医療的ケア体制整備事業として医療的ケアを実施しています。その内容は県の「医療的ケアガイドライン」「医療的ケア体制整備事業要項・細則」「医療的ケア実施における看護教員・養護教諭・教員の実施手順マニュアル」に定められています。
また、各校に応じた実施要領に基づき実施しています。
令和3年度9月より「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行になりました。この法律は、医療技術の進歩に伴い医療的ケア児が増加するとともにその実態が多様化し、医療的ケア児及びその家族が個々の医療的ケア児の心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題となっていることに鑑み、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、保育及び教育の拡充に係る施策その他必要な施策並びに※医療的ケア児支援センターの指定等について定めることにより、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与することを目的としています。
全国の在宅の医療的ケア児は約2万人と推計されています(令和元年度)。
そして、埼玉県の在宅の医療的ケア児は、令和5年4月1日現在で860人です※。※「令和5年度在宅障害児・者状況調査」(埼玉県福祉部障害者支援課調べ)
この法律に伴い、埼玉県では、色々な支援措置が始まる予定です。
※医療的ケア児等支援センターについて(地域センターの管轄区域等)
⇒上記をクリックすると埼玉県のウェブサイトを見ることができます。
<看護教員とは>
肢体不自由部門及び聴覚障害教育部門を有する特別支援学校において、特定の児童生徒に対し医療的ケアを実施できる看護師資格をもつ自立活動教員のことをいいます。本校には看護教員が3名おり、教員と協力しながら医療的ケアを行っています。
<担当教員とは>
担任が、看護教員と一緒に、特定の児童生徒に対して、特定の期間のみ医療的ケアを実施できる教員をいいます。
~担当教員が実施できる範囲~
経管栄養:栄養剤や水分の注入
吸 引:気管カニューレ内部、口鼻腔内吸引(咽頭手前に限る)、口腔内持続吸引